第32号
2005年2月15日発行

大阪体育学会
広報委員会


『判 断 力 の 育 成』
会 長  後藤 幸弘
 日本は、いま内政・外交・経済・教育など、あらゆる分野・局面で判断を迫られています。しかし、外国に判断を任せる政治家、責任感欠如で判断を下せない経営者、外国理論を紹介するだけの教育学者が相変わらずはびこっているように感じます。もっと判断のできる人の育成が望まれます。
 我々が関わる体育・スポーツは、この判断力の育成と大きく係わっています。体育・スポーツは、「生きる力」の基礎である健康の保持・増進と体力の増強に加え、認識→思考→行動の過程を通 して、判断力が育成できるのです。
 プレーヤーは、常にゲーム状況を認識し、思考・判断の上で行動することが要求されます。選手は「自然に身体が動いた」ということがありますが、これは決して無意識に動いたということではなく、練習の積み重ねによる「即座の判断」・「動作の反射化」の極値なのです。スポーツによって培われた判断力は、あらゆる場面 で生かすことができます。社会において優れたリーダーの多くがスポーツ経験者であることは、そのことを実証しています。したがって、「体育会系」と、いわれる言葉は、筋肉ムキムキだけの人間ではなく、「的確な判断に基づいて行動できる人」の代名詞となるべきであると思います。
 体育・スポーツ事象の中で起こっている問題を、一般化・理論化、議論することも判断力を高めます。来る学会において、多くの発表と活発な議論のなされることを期待します。