第36号
2007年3月14日発行

大阪体育学会
広報委員会


領域別研究会報告
 
〈身体運動文化領域〉
代表 溝畑 寛治・幹事 三浦 敏弘

平成18年度第1回研究会
日時:平成18年7月8日(土)14時30分より18時
場所:関西大学図書館ホール

特別講演:『身体(カラダ)は話す』島崎 徹(神戸女学院大学教授、専攻 舞踊)
一般研究発表:常行泰子(関西大学非常勤講師)、前田美智子(甲子園短期大学)他
詳しくは身体運動文化研究領域のページをご覧下さい。

平成18年度第2回研究会(公開研修会)
日時:平成18年12月16日(土)14時30分より18時
場所:関西大学中央体育館

総合テーマ:『新しい学びの様式』-ヒップホップダンスを含む実践研修
講師:圓月久美子(神戸女学院大学非常勤講師、大阪府中学校特別非常勤講師)
詳しくは身体運動文化研究領域のページをご覧下さい。



〈スポーツ領域〉
幹事  佐川 和則

詳しくはスポーツ研究領域のページをご覧下さい。

平成18年度第1回スポーツ領域研究会
日時:平成18年10月21日(土) 17時から19時
場所:大阪体育大学アネックス

総合テーマ:スポーツトレーニングへの提案 演題および話題提供者
 1.「トレーニングによる興奮収縮連関の適応」松永 智(大阪市立大学)
 2.「スポーツトレーニングとメンタルトレーニング」菅生貴之(大阪体育大学)
 3.「疾走のトレーニング方法の工夫」伊藤 章(大阪体育大学)
司会:伊藤章(大阪体育大学:スポーツ領域研究会代表)
参加者:17名

平成18年度第2回スポーツ領域研究会(教育領域研究会と合同開催)
期日:平成19年2月24日(土) 15時〜17時
場所:近畿大学会館 第3会議室

総合テーマ:課外運動部の現在と未来
演題および話題提供者
 1.「運動部活動が学校を変える」脇坂 高峰 (滋賀県立伊吹高等学校教諭)
 2.「高等学校課外運動部の現状と課題」比嘉  悟 (大阪府教育委員会)
 3.「大学課外スポーツの現状と課題」津田 忠雄 (近畿大学)
 4.「日本版NCAAは必要か」松岡 宏高 (びわこ成蹊スポーツ大学)
司会:北田和美(大阪女子短期大学:教育領域研究会代表)
   佐川和則(近畿大学:スポーツ領域研究会幹事)
参加者:19名 写真は話題提供者の方々です。
教育研究領域のページもあわせてご覧下さい。

平成18年度第3回スポーツ領域研究会
期日:平成19年3月18日(日) 10時から12時
場所:大阪体育大学 大視聴覚教室(D203)
講演者: Dr. Keith R. Williams (University of California, Davis)
演 題: 「Research methods in Biomechanics ~Data Acquisition and Analysis~」
     (バイオメカニクス研究法〜データ収集と解析法〜)
共催:大阪体育大学研究委員会・京都体育学会



〈健康領域〉
代表  三村 寛一
平成18年度研究会(本研究会は平成18年度大阪体育学会講演会として開催された)
日時:平成18年7月15日(土)13時から15時
場所:大阪教育大学天王寺キャンパス
講演テーマ:体育人に求められるこれからの健康支援
講師:田中喜代次(筑波大学教授)
※講演会の詳しい報告を会報第35号に掲載しました。

〈教育領域〉
代表  北田 和美

平成17年度第1回研究会
日時:平成18年3月25日(土) 15:00〜17:00
場所:大阪教育大学附属高等学校 天王寺校舎 会議室
テーマ 大阪体育学会教育領域研究会に求められるもの
      ―子どもたちの今から読み取る―
話題提供者:森山みさと氏(豊中市立しんでん幼稚園)
      「幼稚園の現場から」
       玉村恒夫氏(大阪市立味原小学校)
      「小学校の現場から」 司会:津田忠雄(近畿大学)
参加者:7名
  各約30分お話いただいた後、ディスカッション

平成18年度第1回研究会
日時:平成18年8月29日(火) 14:00〜17:00
場所:大阪府教育会館たかつガーデン 会議室「菊」
テーマ 体の発達が脳と心の発達を支える 
話題提供者:生田香明氏(大阪大学大学教育実践センター)
       ― 日本の教育再編に向けて ― 
司会:津田忠雄(近畿大学)
参加者:13名、約1時間30分お話いただいた後、ディスカッション 

平成18年度第2回研究会(スポーツ領域研究会と共催)
日時:平成19年2月24日(土)15:00〜17:00
場所:近畿大学会館 第3会議室
テーマ:「課外運動部の現在と未来」
話題提供者:
1.脇坂 高峰氏 (滋賀県立伊吹高等学校教諭)「運動部活動が学校を変える」
2.比嘉 悟氏 (大阪府教育委員会、元大阪府高等学校教諭) 「高等学校課外運動部の現状と課題」
3.津田 忠雄氏(近畿大学) 「大学課外スポーツの現状と課題」
4.松岡 宏高氏 (びわこ成蹊スポーツ大学)「日本版NCAA は必要か」
司会:佐川和則(近畿大学) 北田和美(大阪女子短期大学)
参加者:20名 

 昨年度は、幼稚園・小学校の現状を知ることから、この教育領域研究会が、現場の体育実践の発展と課題解決に向けて、何をしなければならないのかについて考える機会を持つことが出来た。
  学ぶ意欲や生活習慣の未確立、問題行動、規範意識ならびに体力の低下など、子どもの教育にかかわる状況は、予想以上に深刻なものがあると感じとれた。その原因は多岐にわたり、学校だけでその任を負い、到底解決できるものではないが、教員はその原因の一翼を学校教育のあり方にあると重く受け止め、解決に向けて日々工夫し、実践しておられる様子を窺うことができた。そして、これらの現状を改善するには、体育は中心的な役割を果 たす、期待のかかる教科として認識されているはずであるが、幼稚園ならびに小学校の現場ではそれが共通 認識に至っているとは言い切れず、体育そのものの存在意義や役割が十分認識されていない状況であることを知ることができた。
 これを受けて、今年度は、この現状に対して私たちはどう答えることが出来るのかについて議論を深めていくことにした。日程、開催場所とも幼・小・中・高の先生方が参加しやすい条件に配慮すること、他の関連組織とネットワークづくりを推進することを念頭に置き、以下のように研究会を2回、企画・実施することができた。
 8月には、学校教育の中で、今、なぜ体育が必要なのかについて、再度共通 認識を持ちたいと考えた。そこで、まずは、生田香明先生に、特に脳と足のかかわりから、現代の子どもの体の実態について、科学的な多くのデータとともに話題提供していただいたところ、全員の参加者から、参加して「非常によかった」または「よかった」という調査結果 を得られた。会員以外の小・中学校、さらに社会体育の指導者の参加もあり、『現場で「体育が必要だ!」と大声を上げてやっていくための力になる話を聞くことができた』、『しっかりとした考えを持って実践していくための研究会になった』、また、『情報を外に発信していくためには、体育の専門家ではない方との交流が必要ではないか』などの感想や意見をいただくことができた。
 次に、2月には、スポーツ領域との共催という形で実施することができた。高等学校や大学の運動部がかかえる様々な問題点を整理し、それに対する取り組みや解決の成功例を参考にしながら、これからの運動部のあり方を考えてみるという主旨で、「課外運動部の現在と未来」というテーマを設定した。
 4名の豊富な教育実践を持つ話題提供者から、興味深い実践と知見を伺うことができた。運動部の活動が、学校に活力と良好な人間関係をもたらし、運動部以外の生徒や地域を巻き込んでいくさまざまな実践の紹介は、スポーツの教育的効果 として生活力・人間力を育てる活動であることを目の当たりに示してくれた。また、自らのスポーツ実践から「しっかりした哲学」と「熱き情熱」を持つ指導者がそれを支えていることも、再認識できた。しかし、一方で生徒の可能性を広げる工夫された好ましい実践が、指導者が変わると引き継がれないで絶えてしまうこと、人を育てる上で望ましくない実践をしている指導者を変えることの難しさや、よい実践が継続できるよう支えていくための健全な人・もの・金のシステムづくりの難しさもクローズアップされた。これらは、今後も継続して取り上げていきたいテーマである。
 進行の面では、時間を話題提供者の発表を中心に割り振ったため、話題は豊富に提供していただけたが、意見交換に多くを避けなかったことが、少し心残りでもったいなく感じられた。しかし、今回このようにスポーツ研究領域と共催いただけたことで、新しい交流が持てたことは大きな成果 であった。今後も他の領域とのコラボレーションができる企画も工夫していきたい。
 最後に、多くの方々のご協力によって、今日まで活動して来られたことに心から感謝しております。これからも、参加者の明日への力強い教育活動の歩みにつながる有意義な研究会を企画していけるよう担当者一同、今後も知恵を出し合ってゆきたいと考えております。よちよち歩みだしたこの研究会、数々の至らなさは次の成長への糧と暖かく見守り、会員の皆様のお力で大きく育てていただけますよう、さらなるご協力をいただけますようお願いいたします。