◇講演者:梅野 圭史 先生
鳴門教育大学 実技教育研究指導センター 教授
兵庫教育大学 教科教育実践学専攻生活 教授
健康系(保健体育)教育連合講座 教授
◇日時:2005年10月8日(土)午後2時から4時
◇会場:大阪市立大学 学術情報センター※地図はこちらをご覧ください。
平成17年度の学会講演会は、下記に示しましたとおり鳴門教育大学教授 梅野圭史先生に「優れた体育授業の創造−体育授業学の構築に向けて−」についてご講演いただくことになりました。
梅野圭史先生は、兵庫教育大学学校教育学部附属小学校で教諭として体育教育を中心に実践された研究成果
を公表され,鳴門教育大学学校教育学部附属実技教育研究指導センターに赴任後には、兵庫教育大学連合大学院の教授として教育実践者の研究支援に関わっておられます。
今回ご講演いただくのは、先生がこれまで小学校教諭として実践の理論化、大学教員として現職教員の研究指導の立場から理論の実践化への研究活動から構築しつつある「体育授業学」についてのお考えを公表していただくことになりました。
皆様のご参加だけでなく、体育授業をもっと良くしたいと考えておられる授業者やこれから教師になろうと考えておられる学生諸兄にもご参加いただけるようお願いいたします。
◇講演抄録
−優れた体育授業の創造‐体育授業学の構築に向けて−
鳴門教育大学教授
兵庫教育大学連合大学院教授
梅野圭史
今日の子どもたちの体力は,エネルギー系の面にはさほど問題がなくても,サイバネティクス系の面
では急激な悪化が認められています。この現象を一言で表現するならば,不器用な子どもが多くなったといえるでしょう。これには、学校体育が「楽しい体育」の思潮に幻惑され、どの子どもも上手くなる体育授業が敬遠されたことに一因があります。これにより、体育授業の学校格差や学級格差がますます助長されつつあります。もっと深刻な問題は、「子どもを上手くする体育授業」の敬遠により、子どもたちは、「身体でわかる」「身体にわかる」というリアリティーが欠如しつつあるということです。これは,子どもたちの人格形成に多大な悪影響を及ぼすことになります。
一方で、「子どもを上手くする体育授業」の敬遠により、「腕組み体育」や「お散歩授業」が横行し、子どもたち一人ひとりに対する指導・助言が浅薄となり、結果
的に「体育は一体何を教える教科なのか?」という疑問を教師たちにとどまらず、保護者たちにも抱かせる結果
になりつつあります。
これらの問題を試金石に、これまでの「体育授業の科学」が果
たしてきたことを整理しつつ、優れた体育授業を創造に資する授業学の構想を提案したいと考えています。諸先生方からのご批判・ご指導を願う次第です。