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◆スポーツ領域・教育領域合同研究会のご報告◆ | ||||||||||||||||
津田忠雄(近畿大学) | ||||||||||||||||
平成21年9月19日(土)、関西大学でスポーツ領域と教育領域が「研究実践と教育現場」のつながりと交流を深めるといった主旨をもって、伊藤章(大阪体育大学)先生を招き合同研究会を開催しました。テーマは『体育科教育と陸上競技のハードル指導に関する共通点と相違点』であり、およそ2時間、講演、そしてグラウンドでの具体的な指導方法も含め実技実習をおこないました。 伊藤先生は、走運動を中心としてスポーツバイオメカニクス的な研究を現場での指導に取り組まれています。講演や実技指導は、詳細なスポーツバイオメカニクス研究に基づく実践的な研究に裏付けされたものであり、説得力があり、提案される指導方法に頷くばかりでした。多くの参加者から、「目から鱗が落ちた」という言葉が時々の場面で聞かれました。 |
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体育科教育で行われている現行のハードルの指導方法について、その相違点を研究や実践の成果から指摘され、具体的で分かりやすい新しい視点からの指導方法の展開は、ハードル指導のひとつの指針になるのではないかと感じられました。私もまた陸上競技の現場でハードルを指導していることもあり、指導する上でのバイオメカニクス的理解、指導方法など、多くの貴重なヒントをいたただきました。 伊藤先生は、教材としてのハードル、競技としてのハードルを以下のように捉え、ハードル走の教科内容としての運動学的意義を疾走中にスピードを落とさずに高く遠くへ跳び、空中でバランスをとって着地し、すぐさまスピードを落とさず疾走する運動能力の育成としています。 |
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↑伊藤章先生 | ||||||||||||||||
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指導要領は、低くハードルを跳び越し(またぎ越し)、ハードル近くに着地することを求めていますが、伊藤先生は、ハードルをまたぐのではなく、導入段階では出来るだけ高く跳ぶことを提案され、短いインターバルを3歩の早いリズムでハードル間を走ることを求めています。このことが元気よく遠くに跳ぶに自然に変わり、ちょうど良い踏み切りと着地位置を見いだすことができるということです。 | ||||||||||||||||
また、ハードルの抜き脚について、一般的には、ハードルと平行になるように横に倒して前に運ぶ横抜き脚を求めていますが、伊藤先生は、縦の抜き脚を指導すべきであり、遠くから踏み切り、近くへ着地するという指導も再考すべきとし、高く遠くへ跳ぶことができる踏み切り動作を指導すべきだという従来の指導とは真逆の視点を提案された。 このようなさまざまな提案は、@踏切と着地の距離A記録とハードルタイムとの関係Bハードルの手前の最高点C体格の違いとハードル記録Dハードルの抜き脚等などに関する詳細な研究に基づくものであり、また、現場での実践指導に裏付けられたものでした。 |
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↑実習風景 | ||||||||||||||||
実習は、グラウンドで実際にハードルも設置し、関西大学の学生さんに手伝っていただき、伊藤先生の指導によって何人か参加者の先生方も実際にハードルを跳び指導を受け、楽しく学ぶことができました。 伊藤先生は、切実な願いとして「各都道府県の教育委員会の方々に、教員採用試験におけるハードル走の条件設定を再考していただかないと、教員を希望している学生に対して従来の無理なハードル走を指導しなければならない」との言葉を結ばれた。 最後に、北田教育領域委員長が、「ワザの高め方という点で科学的な研究成果に基づいた『指導の言葉かけ』の新しい視点を伺えたことが新鮮であった。しかし、時間的余裕もなかったので、参加の先生方との十分な意見交換ができなかったことが心残りであり、私自身は、教材としてハードルを扱う時に『劣等感を持たせない』ためにはどんな指導の工夫をしたらいいか、体育嫌いを作らないためにはどのような点に配慮すべきか、といった点についての論議を深めたかった」と挨拶をされ、今後、このような点について十分配慮された研究会を開催したいとの希望を述べられ、講演会は無事に終了した。 |
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